第1章:撤退を決める「基準」とは
会社や仕事を辞めるべきかどうか迷ったとき、一つの指標となる「撤退の基準」についてお話しします。
ここで大事にしたいのは、「変えられるもの」と「変えられないもの」を明確に区別することです。
自分のスキル不足などは努力で埋められる「変えられるもの」ですが、上司の性格や組織の体質は「変えられないもの」です。たとえ自分の意見が社会的に正しかったとしても、組織の9割が異なる価値観に染まっている場合、そこを説得しようとするエネルギーは「努力」ではなく、単なる「消耗」になってしまいます。
自分にパワーバランスがない状態で、変えられないものに抗い続けるのはやめましょう。まずは自分以外の領域にエネルギーを割きすぎないことが、自分を守るための第一歩です。
第2章:「石の上にも三年」の罠
辞める際の大きな障害になるのが「石の上にも三年」という言葉です。特に上の世代からは「とりあえず3年はやってみないと分からない」とアドバイスされることが多いでしょう。私自身も就職活動で苦労した経験があるため、この言葉には重いプレッシャーを感じてきました。
しかし、現代において冷たい石の上で3年間耐え続けた結果、スキルも身につかず、心身を病んでしまったらどうなるでしょうか。治療に数年を費やすことになれば、その後の人生において大きなマイナスになりかねません。
凍えるような環境で修行のように耐え続ける必要はありません。自分の大切な体力や精神力を無駄にしないために、適切な場所へ移動することは決して「逃げ」ではないのです。
第3章:前向きに「諦める」ことで道が開ける
私自身の経験で大きかったのは、「前向きに諦める」という考え方です。
私は会社員として「言われたことをやる」というリズムに馴染めず、最終的に抑うつ症を経験しました。当時は「みんなができることができない自分」を責めていましたが、ある時、会社員という生き方に適応することを「諦めた」のです。
「自分はこの性格だから、それに合わせたプランを立てよう」と、自分の特性をデータとして受け入れた瞬間、カウンセリングや個人での発信といった自分に合った道が見えてきました。
もし、就職活動にかけた時間(サンクコスト)を惜しんで無理に居続けていたら、今の自分はありません。不適合という結果は「その環境が合わなかった」という一つのデータに過ぎません。自分に合った環境を目指すための諦めは、非常に前向きな決断です。
第4章:決断を「正解」に変える術
会社を辞めるにせよ残るにせよ、その行動を「正解」にできるのは、その後の自分自身の動き方だけです。
辞めた瞬間にそれが正解だと確信できることは稀です。後から振り返ったときに「あの時の決断があったから、今の人生が良くなった」と言えるようになるまで、失敗や成功を繰り返しながら淡々と進んでいく。
「あの決断を正解にするんだ」という覚悟を持って動くことで、過去の決断は少しずつ正解へと変わっていきます。
第5章:自分を救う「野生の勘」を信じる
決断を正解へと導くために必要なのは、「自分との約束を守ること」です。
私が会社を辞めたとき、自分と交わした約束は「二度と精神を病んで数ヶ月もストップするような状況に自分を追い込まない」ということでした。この約束を軸に置くと、自分の中に「野生の勘」のようなものが芽生えてきます。
何かを選ぼうとしたとき、微細な「何か違うな」という違和感に気づけるようになるのです。これまでは「仕方ない」と見逃していた違和感を無視せず、一度立ち止まって、その中身を明らかにする。
自分自身の声を聞き、自分に対して誠実であること。これが、後悔しない決断を下すための唯一の方法です。
まとめ
会社は、最終的にあなたの人生の責任を取ってくれる場所ではありません。
私自身、以前いた会社とは今は何の関係もありませんが、自分と決めた約束を守り続けてきたからこそ、今の場所まで来られたと感じています。
会社を辞めるか迷っている方も、最後に信じるべきは他人の声ではなく、自分自身の声です。自分に対して誠実な決断を積み重ねていけば、どのような結論を出したとしても、後悔せずに前へ進んでいくことができます。



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